アロマの香りでリラックスしたり、リフレッシュしたり。香りを嗅ぐだけで気持ちや体に心地よい変化が起こります。でも、お腹に赤ちゃんがいる時に使って大丈夫?安心して精油を使えるよう、それぞれの精油の安全性についてお伝えします。

精油以外の香りの楽しみ方については
【妊娠中のアロマテラピー】妊娠中の香りを楽しむ方法をチェックしてみて下さい。

妊娠中から産後の精油の使用法と禁忌

妊娠中は前期・中期・後期に分けてお腹の中の赤ちゃんの成長具合が異なります。一般的には前期から中期は神経や脳を育む時期なので使える精油が少ないです。後期以降は赤ちゃん自体がしっかり出来上がってきているので使える精油が多くなります。

ただし、子宮を収縮させる作用のある精油は全期間通して使用できません。そういった精油は陣痛・分娩中や産後に良かったりします。安全に精油を使えるよう、しっかり調べてから使用しましょう。

妊娠中から産後までどんな香りも楽しめる室内芳香浴

妊娠中に芳香浴で香りを楽しむ場合はどんな精油を使っても大丈夫です。
アロマストーン、アロマランプ、ディフューザーなどを使って
室内空間に香りを漂わせて楽しみましょう。

8畳程の広さであれば精油3〜5滴を目安に精油を香らせましょう。
強すぎる香りは吐き気を催したり、頭痛を引き起こしたりします。
もし香りが強いと感じれば、換気をして空気を入れ替えましょう。

アロマ芳香浴を楽しむための芳香器

芳香器は非加熱式と加熱式の2つに大別されます。精油は熱を加えると拡散しやすくなります。

電気で熱を加えるタイプは香りの拡散能力が高いタイプです。その分、早く香りは消えてしまいます。

非加熱式のものは穏やかに香りが立ち上がり、ゆっくり部屋に香りが拡散されます。その分、香りは長く保たれます。

ゆっくり香りが広がるアロマストーン

アロマストーンは精油をストーンに染み込ませて香りを楽しみます。
電気を使わなず、熱を与えないので精油の香りがダイレクトです。
熱を与えないため、香りの拡散速度は穏やかです。
小さい子供やペットがいるご家庭や電源が確保しにくいトイレや玄関で使いやすい芳香器です。

一番ポピュラーな芳香器・アロマランプ

一番ポピュラーな香りを楽しむための芳香器です。熱を与えるため、香りの蒸散速度は高くなります。熱が加わると熱に弱い精油の香りが変性するのがデメリットです。

香りの拡散能力が高いアロマディフューザー

精油を超音波で拡散させるタイプの芳香器です。精油の香りがダイレクトに、広範囲へと広がります。熱変性が起こらず、精油本来の香りが楽しめます。機械音がするのがデメリットです。

妊娠中から産後までリラックスタイムに沐浴法

全身浴や部分浴で香りを楽しむ方法です。この方法は精油が直接肌に触れるので、下記の精油一覧から、使用しても安全なのか確認してから使用して下さい。

全身浴

お風呂の浴槽に湯を張って入浴する場合は精油を1〜5滴垂らします。

妊娠中や分娩時は五感が敏感になっているので1〜3滴にして様子を見ましょう。産後は非妊娠時の通常に戻して大丈夫です。

部分浴

フットバスやハンドバスのように体の一部分を入浴する方法です。1〜3滴の精油を垂らします。

部分浴は心臓がお湯に浸からないため、心臓がバクバクしません。動悸が起こりやすかったり、お腹が大きくなったために浴槽でリラックスしにくく感じるなど全身浴が辛く感じる妊婦さんは部分浴がオススメです。部分浴は妊娠中のリラクゼーションにとても良い入浴法です。

妊娠中から産後までセルフケアにマッサージ法

植物油に精油を混ぜたブレンドオイルで体の全身、もしくは部分をマッサージする方法です。もしくは市販のアロママッサージオイルを使用します。

直接、精油が肌に触れるため注意が必要です。下記の精油一覧から、使用しても安全なのか確認してから使用して下さい。

全身のマッサージはアロマテラピーのマッサージ店を利用されると、とてもリラックスした時間を過ごせます。

ふくらはぎを浮腫みのケアをしたり、妊娠線の予防のためにお腹をマッサージしたり。腰や肩の痛みがあるときはパートナーにお願いして腰や背中、肩をブレンドオイルを使ってマッサージしてもらうと、とても心地よいですよ。

ブレンドオイルを作る時は下記の希釈濃度を守るようにしましょう。市販のオイルを使用する場合は妊婦用のオイルを使用しましょう。

妊娠中は濃度に注意!マッサージオイルの精油の希釈濃度

妊娠中の精油の希釈濃度は0.5%以下です。0.5%はかなりの低用量ですので妊娠中でも安全に使える濃度です。植物油10mlに対して精油1滴と覚えておいて下さい。産後は植物油5mlに対して精油1滴で1%濃度です。

海外のアロマテラピーの書籍では、健康な人への希釈濃度が3%と書かれることが多くあります。日本アロマ環境協会が推奨する一般的な希釈濃度は1%です。骨格の大きな欧米系の方と異なり、日本人の体格や肌の状態に合わせると1%が妥当なようです。妊娠中は通常の状態より敏感になるので、通常用量の半分の濃度で0.5%です。

『妊娠と出産のためのクリニカル・アロマテラピー』(デニス・ディラン著)によると妊娠・出産時に用いる精油の適用量はマッサージで1から2%を超えないようにし、できれば妊娠中はもっと少なめの方が良い。と記載されています。

デニス・ディラン氏はイギリスの方ですので日本のルールよりは少し高い濃度で書いてあります。それでも、低用量で十分だとも書かれています。

私のサロンのマタニティアロママッサージは0.5%でブレンドしています。この濃度であれば問題なく安全にお使いいただけると実感します。

ただし、それでも心配だと感じるのであれば精油は芳香浴のみで使用されることをお勧めします。マッサージをするのであれば精油は入れずに植物油(キャリアオイル)のみで行っても十分リラックスできますよ。

ご自身で精油を使われる時は自己責任です。精油の使い方を調べ、安全に安心して精油を使えるようにご準備ください。このページが皆さんの安心への手助けとなれば嬉しいです。。

手作りマッサージオイルはホホバオイルと精油を混ぜる

私はブレンドオイルを作るための植物油は100%ホホバオイルを勧めます。長年セラピストをしていますが、ホホバオイル以外をお客様に勧めたり使用することはありません。

理由はホホバオイルは劣化しない、洋服やタオルを汚さない、肌への保湿作用が素晴らしいからです。
ホホバオイル以外は考えられないほど、植物油の選択はホホバオイル1択です。

ホホバオイルが素晴らしいオイルだという理由は別のページでご紹介してます。良かったら読んでみて下さいね。
妊娠線予防のブレンドオイル作り

妊娠中のセルフケアはヴェレダのマッサージブラシが便利

お腹が大きい時にセルフケアマッサージってすごく大変です。太ももやお尻の大きな筋肉を刺激するのも力が伝わりにくいし、ふくらはぎをケアしようとするとお腹が邪魔で手が届かない。背中側も手が回りにくい…。

妊娠中のセルフマッサージにオススメしたいのがマッサージブラシです!!すごく力が伝わりやすくなるので、少ない力でリラックスしながら疲れをケアできます。

ブラシ自体が縦長なので、ブラシの端を持つと背中側や肩甲骨の間にも簡単にブラシが届いて、自分の手だけでは届かない部分に届きます。

産後もなかなかマッサージ屋さんに行けない日々が続くのでセルフケアのために1つあると便利です

妊娠中に柑橘精油をブレンドする時の注意点

柑橘の香りはどの精油も妊娠中に安全に使用できる精油です。妊娠中も安心して使える柑橘精油ですが、直接肌に触れる使用法の時には注意が必要です。

光毒性が強いので紫外線に注意が必要です。柑橘精油をブレンドしたオイルを肌に塗布した状態で、日光に当たらないようにしましょう。妊娠中は特にメラニンをつくる働きが高まるので、より注意が必要です。どうしても柑橘精油を使いたい場合はフロクマリンフリーを使用するのをオススメします。

フェイシャルケアを行う場合は夜に行いましょう。

柑橘精油は非常に劣化の早いオイルです。開封後6ヶ月以内に使い切りましょう。

妊娠中・分娩中・産後のそれぞれの精油活用法

妊娠中の精油の使い方ガイドは様々な本で記載されていますが、同じ精油でも、本によって【使ってもOK or NG】がさまざまです。

今回は複数の本を参考に記載します。私も2013年からマタニティアロママッサージを行っている中で、大丈夫だと感じるものがあります。それらも含めて記しています。

精油は粗悪品も出回っているので、精油選びのポイントもお伝えします。安心して使用するためにはアロマ専門店の精油を購入するのが一番です。

イランイラン

学名:Cananga odorata
科名:バンレイシ科
抽出部位:花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インドネシア、マダカスカル

ストレスやパニック、不安感、性的問題、高血圧症など感情が絡む不調に効果的です。妊娠中でも少量なら安全と思われます。分娩間近で極度の緊張や不安を感じている場合にホホバオイル10mlにイランイラン精油1滴を混ぜて、鎖骨下のデコルテを撫でるようにマッサージをすると良いでしょう。

イランイラン精油は蒸留中のどのタイミングで採油されたかによってグレードが変わります。出来れば純度の高いイランイラン・エクストラを選びましょう。合成のものや、薄めたものが出回りやすい精油です。信頼できる精油の取り扱いのあるお店で購入しましょう。

スイートオレンジ

学名:Citrus sinensis
科名:ミカン科
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法
主な産地:中国、スペイン、イタリア

安全性と用途の広さは1番です。妊娠中だけでなく、産後や子供の心のケアにも有効な精油です。

消化器のトラブルに有効で吐き気・嘔吐・便秘・下痢・食欲不振に良いです。抗菌作用も強く、空気を浄化します。肌を柔らかくしてくれるため、妊娠線や乾燥肌にも効果的です。

鎮痛作用もあるため、分娩時の痛みにも有効と考えられます。むくみの軽減にもよく、妊娠後期・分娩直後の産褥期に足のマッサージオイルとして良いでしょう。ホホバオイル20mlにオレンジ精油1滴、ラベンダー精油1滴を混ぜて、37週以降に足を少し強めにさすったり、骨盤周りに塗り広げながら、優しく手の平でマッサージをしてあげると体が緩んで分娩を促してくれます。

ジャーマンカモミール

学名:Matricaria chamomilla
科名:キク科
抽出部位:花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:ドイツ、ハンガリー

Matricariaというラテン語は“子宮”を意味しているように、カモミールの精油は婦人病によく使われています。しかし通経作用のある精油なので妊娠初期・中期は使用しないようにしましょう。妊娠後期になり、慎重に用いれば問題ありません。

カモミールは尿路感染症や膀胱炎など尿路のトラブルに良いと言われています。精油を使用できない期間はカモミールティーを飲むのも良いですよ。

ローマンカモミール

学名:Anthemis nobilis
科名:キク科
抽出部位:花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:ドイツ、ハンガリー

ローマンカモミールは妊娠中は用いないようにという説と安全に用いられるという説、両方が存在します。通経作用があるので妊娠初期は使用しないようにしましょう。

ロバート・ティスランドとトニー・バラシュによればローマンカモミールの精油は妊娠期間を通して安全に使用できると述べています。どの精油でも言えることですが、1つの精油を長期的に多用せず、低用量を守れば問題ないかと思われます。

カモミールには優れた鎮痛作用があるため、背中を精油入りのオイルでマッサージをすると、背中の痛み、月経困難症、陣痛、後陣痛が和らぎます。緊張を和らげたり、分娩中の痛みの緩和に使用すると良いでしょう。正産期に入れば、特に安心してお使い頂けます。

肌の炎症や痒みにも良いオイルです。産後の肌トラブルや赤ちゃんのケアにも良いです。

ホホバオイル10mlにローマンカモミール精油1滴を加えて、ご自身の肌ケアやベビーマッサージを行うと肌の乾燥や痒みを抑えてくれます。ホホバオイル20mlにローマンカモミール精油1滴とフランキンセンス精油1滴をブレンドするのもオススメです。

ローマンカモミールは鎮静効果が高く、穏やかな精油なので、産後に、子供を眠りに誘う目的で芳香浴をするのも良いでしょう。

クラリセージ

学名:Salvia sclarea
科名:シソ科
抽出部位:葉と花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:モロッコ、フランス、アメリカ

通経作用があるので妊娠中は使用するのを避けましょう。

月経前緊張症や月経困難症、後陣痛に良いオイルです。ホホバオイル30mlに対してクラリセージ3滴、ラベンダー2滴、フランキンセンス1滴をブレンドします。(非妊娠時のため1%濃度)マッサージオイルを作り、手のひらで優しくおへその周りやお尻全体を撫でてマッサージしてみましょう

強力なリラックス作用のある精油なので運転前に高濃度で嗅がないように注意しましょう。高濃度で嗅ぐと頭痛を引き起こし、気分が悪くなる事もある精油です。

グレープフルーツ

学名:Citrus paradisi
科名:ミカン科
抽出部位:果皮
抽出方法:圧搾法
主な産地:アメリカ

柑橘精油全般、妊娠中・分娩時に安全に使える精油です。フレッシュな香りは気分を明るくさせ、リフレッシュさせてくれます。気持ちが落ち込みやすい時や胸やけなど消化器系の不快感がある時に良いオイルです。妊娠初期や後期のつわり、胃の不快感がある時に良いでしょう。

つわりの時期にグレープフルーツ精油やペパーミント精油をブレンドして芳香浴をするのもオススメです。

クローブ

学名:Eugenia caryophyllata
科名:フトモモ科
抽出部位:つぼみ
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インドネシア、スリランカ

正産期に低濃度で使用できます。それ以外の期間は使用を控えましょう。筋肉組織を強化する働きがあるので、昔から妊婦が臨月に使うように勧められ子宮筋を整え、出産へ備えるために使われてきました。

一般的な使い方は歯の痛みに使用されるため、クローブは歯磨き粉に含まれることが多いです。

サンダルウッド

学名:Santalum album
科名:ビャクダン科
抽出部位:木(心材)
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インド、スリランカ、オーストラリア

高いリラクセーション効果が得られるオイルです。深い呼吸を促し、心を沈めてリラックスさせてくれる香りです。しかし強いリラクセーション効果があるため、心の抑うつ状態の時には使用しないようにしましょう。より心が沈み込み、思考が内向きになります。少し疲れているな…ぐらいの時に使用しましょう。

泌尿器系(膀胱炎や尿路感染症)や呼吸器系(気管支炎、咳、風邪、喉の痛み)に良いオイルです。催淫作用もあるので出産が原因の不感症や心理的な原因が根底にあるインポテンツの改善に役立つでしょう。

ジャスミン

学名:Jasminum officinale
科名:モクセイ科
抽出部位:花
抽出方法:溶剤抽出法
主な産地:フランス、モロッコ、エジプト

妊娠中のすべての期間でジャスミンの精油は使用してはいけません。しかし分娩時や分娩直後の後陣痛には極めて有効な精油です。子宮の強壮作用もあるので妊娠中以外であれば女性にとって、とても有用な精油です。

ジャスミン精油は妊娠中には使用できませんが分娩中から使用可能であり、産後には特に優れた精油です。

長引く陣痛の苦しみから生じるトラウマを慰め、出産の喜びを高めてくれます。さらに催乳作用があることから母乳の出をよくしてくれます。産後のケアオイルとしてブレンドオイルを準備しておくと良いでしょう。ホホバオイル20mlにジャスミン精油2滴、ベルガモット精油1滴、フランキンセンス精油1滴をブレンドします。

香りの王様と呼ばれる濃厚な花の香りは女性の気持ちをゴージャスに高めつつも、リラックスさせて鎮静化させます。実際にジャスミン精油の価格はゴージャスです。

ジャスミンは女性であっても、男性であってもホルモン分泌を調整してくれます。精子を増加させる効果があることから、男性不妊にも有用です。催淫作用もあることから、これから赤ちゃんを迎えたいカップルに良いす。ジャスミンは子宝のハーブとも言われています。ジャスミン精油は柑橘精油と相性が良いので、ベルガモット精油と一緒に香りを焚くとお部屋のムードも高まります。

1滴の香りがとても強いので、芳香浴であっても低用量で使用しましょう。

ジュニパーベリー

学名:Juniperus communis
科名:ヒノキ科
抽出部位:果実
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:イタリア、ハンガリー、インド

ジュニパーベリーは妊娠期間中全てにおいて使用できません。この精油は利尿作用があり、リンパの滞留を改善してくれますが、残念ながら妊娠中のむくみ改善のためには使用できません。

産後、慢性的な疲労や手足の冷え、腰痛、むくみがある時に下半身のマッサージを行うのも良いでしょう。ホホバオイル15mlにジュニパーベリー精油2滴、レモングラス精油1滴をブレンド。

妊婦だけでなく、腎臓病の既往歴がある場合も使用できません。

ジンジャー

学名:Zingiber officinale
科名:ショウガ科
抽出部位:根
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インド、中国

ジンジャーには胃液の分泌促進や食欲不振、下痢、吐き気や嘔吐の治療に昔から使われています。つわりに役立つブレンドオイルとしてジンジャー、スイート・オレンジ、ローマン・カモミール、コリアンダーの調香があります。

けれど、必ずしも精油として使う必要もありません。ジンジャーティーや生姜の砂糖漬けなど、生のショウガもしくはドライの生姜を使用しても同じ効果が期待できます。

もしジンジャー精油を使ってマッサージブレンドを作る場合は、敏感肌の方は刺激を感じるかもしれません。注意して使用しましょう。

ゼラニウム

学名:Pelargonium graveolens/P.odorantissimum
科名:フウロソウ科
抽出部位:花・葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:フランス、エジプト、レユニオン島、マダガスカル

ゼラニウムも種類がたくさんある精油ですが、一番上質なものはブルボンです。

抗炎症作用があるので分娩時や産褥期に良い精油です。ラベンダー精油とブレンドして陣痛を和らげる効果も期待できます。陣痛中・分娩中に背中やお腹、頭を撫でるようにマッサージするのも良いでしょう。この香りが鼻につくようなら使用しないようにします。自分の好みに合う香りなのか、事前にチェックしておくと良いでしょう。ホホバオイル20mlにゼラニウム精油2滴、ラベンダー精油2滴(分娩中から産褥期使用のため1%濃度)

ゼラニウムに含まれるゲラ二オールが子宮を収縮させる作用があるので妊娠期間中は禁忌であるというセラピストもいます。ここは意見が分かれるところでしょう。

私としては全身トリートメントを毎日するのでなければ使用しても問題ないと思います。私はハンドメイドの化粧水で日常的にゼラニウムの精油を使っていました。肌ケアにとても有効な精油なので、妊娠中にとどまらず、フェイシャルケアにとても役立つと個人的には思っています。

実際にゲラ二オールを含むローズは妊娠中のケアにとても良いですし、市販の妊娠線対策オイルにはゲラニオールを含む商品が販売されています。使用頻度、使用濃度に気をつけましょう。心配な方は使用しないようにしましょう。

ティートリー

学名:Melaleuca alternifolia
科名:フトモモ科
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:オーストラリア

強力な抗菌作用のあるティートリー精油は空気の浄化や風邪予防にとても効果的です。感染症の予防に良い精油です。芳香浴で楽しむのも、とても有効な使い方です。

毒性・炎症性のない精油なので濃度に気をつけて安全に使用できるオイルです。デリケート部分の感染症にも有効でティートリー精油をお風呂に1〜3滴垂らし、患部の不快感を和らげてくれます。

会陰切開後の感染症の予防や治癒効果も期待できます。ティートリー精油を使った沐浴を楽しんでみましょう

ネロリ

学名:Citrus aurantium
科名:ミカン科
抽出部位:花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:チュニジア、フランス、イタリア

健康な肌へと導く効果があるため妊娠線の予防に効果的です。産後には創傷治癒や細胞の再生を促してくれます。

神経系を穏やかに強壮してくれるため、分娩時の緊張やストレス、月経前の緊張にも効果的にリラックス状態へと導いてくれます。

産後ブルーにも良いので分娩時や産後に力を与えてくれる香りです。過敏だったり、感受性が強かったり、不安になりやすい方に安心と強さをもたらしてくれるでしょう。産後の不眠がある方や、性欲が通常に戻らない時にも適しています。

妊娠線予防にホホバオイル30mlにネロリ精油2滴、フランキンセンス精油1滴をブレンド。

パチュリ

学名:Pogostemon patchouli
科名:シソ科
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インド、インドネシア

少しの濃度で鎮静作用、強い濃度で興奮作用のある精油です。妊娠中は敏感なため低用量での使用にしましょう。

皮膚組織の再生と瘢痕形成を促進するため、アレルギーや湿疹を緩和し、ひび割れなどの傷の治癒に役立つ精油です。食欲を抑制して、むくみやセルライトを防ぐ事で肥満の治療に効果が期待できると考える専門家もいます。

私としてはパチュリだけで痩せるわけではないので、香りだけでなく、他の方法と併用する必要があると思います。

フランキンセンス

学名:Boswellia carteri
科名:カンラン科
抽出部位:樹脂
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:オマーン、インド、中国

百日咳や喘息など呼吸器系のトラブルにとても有効な精油です。咳がひどい時には背中へのオイルトリートメントがとても心地よいケアとなるでしょう。

キリスト教の象徴的な香りでもあり、祈りを捧げたり、瞑想をする時に良く使用され、心を落ち着かせてくれるます。通経作用があるとされ妊娠中には注意が必要ですが全般的にとても安全性の高いオイルですので専門家は低用量で様子を見ながら用いる事ができると言っています。

私はマタニティマッサージでよくフランキンセンス精油を使います。他のローズやネロリの香りと調和しますし、肌ケアにも最高の精油だと感じます。ホホバオイル50mlにローズ精油2滴、マンダリン精油1滴、フランキンセンス精油2滴のブレンドを好まれる妊婦さんが多いです。

ベルガモット

学名:Citrus bergamia
科名:ミカン科
抽出部位:ミカン科
抽出方法:低温圧搾法
主な産地:イタリア、モロッコ、南フランス

妊娠期間全期を通じて安全に使用できる精油です。紅茶・アールグレイの香り付けに使われる柑橘の香りでとても嗅ぎやすく、気分を高揚させる良い香りです。

消化不良や疝痛、鼓腸など消化器系の痙攣性の症状に良いでしょう。食欲を増進する効果もあるので、体重管理をしている妊婦さんは気をつけましょう。特に神経系からくる消化不良に良いと言われています。子宮の強壮作用もあるので分娩時、分娩後の回復にとても良いオイルです。降圧作用もあるので血圧が高い時にも使用できます。

ホホバオイル20mlにベルガモット精油2滴、ジャスミン精油2滴をブレンド。(分娩時・分娩後から使用するためのブレンドのため1%濃度)

ベンゾイン

学名:Styrax benzoin
科名:エゴノキ科
抽出部位:樹脂
抽出方法:溶剤抽出法
主な産地:インド、インドネシア

バニラのような甘い香りです。腎臓に働きかけて尿の排泄を促します。むくみや膀胱炎に良いです。降圧作用もあるので血圧が高い時にも使用できます。

通経作用はないので低濃度で妊娠中期から使用が可能です。香りが強いので濃度に注意が必要です。乾燥肌を潤し、粘膜の塊を流す働きがあるので副鼻腔炎や痰、気管支炎に良いオイルです。

ストレスや緊張を和らげ、不安を解消してくれます。産後のアロママッサージで用いれば疲れた体を癒し、赤ちゃんとの生活に不安を抱いていれば自信を与えてくれるでしょう。

マジョラム

学名:Origanum majorana
科名:シソ科
抽出部位:花と茎葉(全草)
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:エジプト、マダガスカル

通経作用があり、妊娠中は全期間使用できません。出産日近くになったときに少量用いる事は出来ますが、それ以外は使用しないようにしましょう。

痛みを和らげるオイルなので運動後の筋肉痛、頭痛に効果的です。腹部の痛みや便秘、生理痛に効果的な精油です。古代ギリシャでは幸福の象徴とされるハーブで結婚の儀式の時に使用されていました。

産後にリラックスしたい時、安眠したい時に用いると良いでしょう。心の疲れを癒し、幸福感を与えてくれる香りです。

ホホバオイル20mlにマジョラム精油2滴、ラベンダー精油2滴をブレンド。(分娩中・分娩後に使用のため1%濃度)

マンダリン

学名:Citrus nobilis
科名:ミカン科
抽出部位:ミカン科
抽出方法:低温圧搾法
主な産地:イタリア、アルゼンチン、ブラジル

妊娠期間全期を通じて安全に使用できるオイルです。アロマテラピーの精油の中でも、最も用途が広く穏やかな精油です。ほとんどの人がマンダリンの香りに嫌悪することがなく、とりわけ妊婦と幼児にとって好まれる良い香りです。

柑橘の爽やかな、そして温かみのある優しい香りです。妊娠線や瘢痕をできにくくする作用があるので、妊娠用ブレンドオイルに使われることが多いです。

リタルダンドでもマタニティオイルマッサージでお客様と相談し使用することが多い精油です。

柑橘精油の中では一番肌にマイルドな精油です。柑橘精油に肌刺激を感じる人でも、マンダリンは大丈夫な場合もあります。

ユーカリ

学名:Eucalyptus globulus
科名:フトモモ科
抽出部位:葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:中国、スペイン、ポルトガル、インド

去痰作用、粘膜溶解作用があるので呼吸器系の風邪症状に良い精油です。呼吸器の感染症や副鼻腔炎、抗ウイルス作用があります。感染症の流行時に空気清浄のために芳香浴をしたり、消毒用アルコールに混ぜて使用したりするのに良いでしょう。

妊娠中に膀胱炎になった場合、恥骨が十分浸かる程度に湯をはり、少量のユーカリを加えて座浴をすると効果的です。しかしユーカリは強力な精油なので低濃度(1滴だけ垂らす)で使うように心がけましょう。特に肌が弱い方は注意が必要です。

高血圧、てんかんの症状がある方は使用を避けます。

ラベンダー

学名:Lavandula angustifolia
科名:シソ科
抽出部位:花と葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:フランス、スペイン、タスマニア

詳しくは別ページで紹介しているので、ご覧ください。
妊娠中から産後のラベンダー精油の上手な使い方

通経作用があるので妊娠初期・中期の使用は避けましょう。

抗菌作用が非常に強く、鎮痛作用もあるので帝王切開や会陰切開を受けた傷から感染症を起こりにくくしてくれます。

赤ちゃんがだんだんと大きくなり、子供となった時にもラベンダーの精油はとても役立ちます。子供の気持ちを落ち着けたい時、親子のコミュニケーションを深めたい時、一緒に嗅いでみましょう。

公園で怪我をしてしまった時には、汚れを水で洗い流した後にラベンダー精油を傷口につけてみましょう。ラベンダーの精油は鎮痛作用と抗菌作用があるので傷を癒し、痛みを和らげてくれます。何よりお母さんから塗ってもらえるラベンダーの精油が子供は大好きになります。

レモン

学名:Citrus limon
科名:ミカン科
抽出部位:果皮
抽出方法:低温圧搾法
主な産地:イタリア、ブラジル、スペイン

妊娠期間全期を通じて安全に使用できるオイルです。爽やかな香りのレモンは気持ちをリフレッシュさせるのに役立ちます。直接脳に働きかけ、抗うつ作用を発揮し気分を高めてくれます。

血管を収縮させる作用があるので出血時の止血剤としても使われます。循環を良くし高血圧を緩和する効果も期待できます。抗菌作用も強いので、室内芳香浴で空間浄化をするのにも優れています。

芳香器にレモン精油3滴、ティートリー精油2滴を垂らすと室内の空気を綺麗にしてくれます。

レモングラス

学名:Cymbopogon citratus
科名:イネ科
抽出部位:全草(根以外)
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:インドネシア

分娩時と出産後の気持ちをリフレッシュして高揚させてくれます。催乳性もあるので乳汁分泌を促してもくれます。レモングラスの香りは虫除けや消臭作用もあるのでエアフレッシュナーとしても効果的です。肌刺激の強いオイルなので低濃度で注意しながら使用しましょう。

産後の疲れでやる気が起きない時、体がだるい時にに活力を与えてくれる香りです。

ローズ

学名:Rosa damascena
科名:バラ科
抽出部位:花
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:ブルガリア、トルコ、モロッコ

妊娠期間中全期を通して使用を避ける方や良いという説と婦人科ケアに適している説が両方あります。リタルダンドではマタニティアロママッサージの際にお客様と相談しながら使うケースが多いです。ローズの香りは本当に妊娠中の体の疲れ、心の疲れを癒すのに優れていると実感します。ローズが妊娠中にベストであると唱えるアロマ療法家もおり、パトリシア・デービスは妊娠中の使用を勧めています。

痛時に使えば高いリラクセーション効果や子宮の働きを助ける作用が期待できます。ローズのフェミニンな甘い香りは妊娠中のケアだけでなく女性のあらゆる不調に働きかけてくれます。

ローズは非常に高価なオイルです。品質を良く確かめて購入しましょう。(アブソリュート、ゼラニウムの混入、植物油希釈など)あまりに値段がお安いものは本物でない場合が殆どです。

産後にローズとジャスミンを用いたオイルマッサージを受ければ、最高に贅沢な時間となるでしょう。出産で疲労した体の回復に、子宮の回復を助け、心を温かく包み込んでくれます。私としてはこのローズ&ジャスミンの香りを想像するだけで最高です。

  • ホホバオイル50mlにローズ精油2滴、マンダリン精油2滴、フランキンセンス精油1滴(妊娠中のブレンドのため0.5%濃度)
  • ホホバオイル20mlにローズ精油2滴、ジャスミン精油2滴(産後のブレンドのため1%濃度)

ローズマリー

学名:Rosemarinus officinalis
科名:シソ科
抽出部位:花や葉
抽出方法:水蒸気蒸留法
主な産地:スペイン、フランス、チュニジア

妊娠中は特に慎重に用いるべき精油で、もし用いるなら出産直前の期間のみにしましょう。そして使用する場合は必ず間隔をおくようにして下さい。血圧が正常値から外れている人(低血圧、高血圧)、てんかんの症状がある方は使用を避けましょう。

ローズマリーは頭をクリアにする働きがあり「ローズマリーは物覚えに」というシェイクスピアのセリフもあります。筋肉の様々な痛みに有効で、分娩時や月経困難症にも効果的です。月経前や産後のむくみにも良いでしょう。

ホホバオイル15mlにローズマリー精油2滴、オレンジ精油1滴をブレンド(非妊娠時用のオイルのため1%濃度)

通経作用のある精油

以下のオイルは通経作用のある精油です。妊娠初期もしくは全期に渡って使用を控える必要があります。精油によって妊娠中は全ての期間NGなものもあれば、使い方によってはOKなものもあります。通経作用=妊娠中全てNGではないので、1つ1つの精油について調べて、納得してから使用されるようにして下さい。

アニスシード、アンジェリカ、カモミール、カラミント、カレンデュラ、ガルバナム、キャラウェイ、キャロットシード、クミン、クラリセージ、サイプレス、シトロネラ、シナモンリーフ、シダーウッド、ジャスミン、ジュニパー、セージ、セロリシード、タイム、タラゴン、ナツメグ、バジル、パセリ、ヒソップ、フェンネル、フランキンセンス、ベイ、ペパーミント、マジョラム、ミルラ、メリッサ、ラブダナム、ラベンダー、ローズ、ローズマリー

アロマテラピーで禁忌とされる危険な精油

禁忌精油はほとんどの場合、店頭で販売していないので手に入りにくい精油です。けれど希に販売されている事があります。私も以下の精油の何本か持っています。精油は使い方を間違えれば思ってもいなかった事になりかねません。十分注意して使用して下さいね。

アルニカ、アルモワーズ、ウィンターグリーン、エレキャンペーン、オリガナム、チャイニーズシナモン、カンファー、コスタス、サッサフラス、サビン、シナモンバーク、セイボリー、タンジー、チャービル、ツーヤ、ディアタン、トンカ、バーチ・スイート、バジル・エキゾチック、バニラ、パイン・ドワーフ、ビター・アーモンド、ビター・オレンジ、ブチュ・ブッコノキ、ブルーム・エニシダ、ペニーロイヤル、ホースラディッシュ、ボルドーリーフ、マスタード、メリロート、ヤボランジリーフ、ルー、ワームウッド

※参考文献

『妊娠と出産のためのクリニカル・アロマテラピー』
著書:デニス・ディラン
平成20年8月25日 第1版第5刷発行
フレグランスジャーナル社

『アーユルヴェーダとアロマテラピー
古代の叡智と現代医学を統合したヒーリング・テクニック』
著書:ライト・ミラー&ブライアン・ミラー
監訳:上馬場 和夫
平成23年11月30日 第1版第7刷発行
フレグランスジャーナル社

『スピリットとアロマテラピー
東洋医学の観点から、感情と精神のバランスをとり戻す』
著書:ガブリエル・モージョイ
訳:前田 久仁子
平成22年7月31日 第1版第11刷発行
フレグランスジャーナル社

『「聖なる香り」サトル・アロマテラピー』
著書:パトリシア・デービス
監修・翻訳:古賀 むつ美
訳:清水 美冴
1997年4月17日発行
ノーベル書房