前回の抱っこレッスンでは”より高く、より近く”という事をお伝えしました。今回のレッスンでは赤ちゃんの基本姿勢から、どこを支えてあげると良いのかについてお伝えします。

産後に実感した抱っこの大変さ|赤ちゃんと心地よく過ごすためのポイント

赤ちゃんの基本姿勢

皆さんは赤ちゃんってどんな姿勢であるのが自然体なのか知っていますか?抱っこ講座でお会いするお母さんに質問しても、ご存知ない方がほとんどです。そりゃそうです。母子手帳にもそんな事は買いてないし、抱っこ紐を買っても使用説明書に買いてません。

私がなぜ知っているか…それはベビーマッサージのセラピストレッスンの時に教えてもらったからです。それ以外で赤ちゃんの基本姿勢について言及されているのは聞いた事がないと思います。

では赤ちゃんの基本姿勢はタイトルの通りM・C・Wです。

  • 脚はW
  • 背骨C
  • 腕はM

きっと身近に赤ちゃんがいる方は言われてみればそうだなぁと感じるのではないでしょうか?特に抱っこの時には脚はW、背骨はCの姿勢を整えてあげたいのです。赤ちゃんにとってはこの姿勢が一番落ち着く姿勢です。落ち着く姿勢に入れれば、安心します。安心すれば泣き止んだり、眠くなったりするものです。

赤ちゃんのどこを持って支えてあげる?

では、どこを支えて抱っこをすると良いのでしょう?どこを支えれば脚はW、背骨はCになるのでしょうか?

答えは…

です。

大体の方が赤ちゃんを抱っこする時にお尻を支えませんか?お尻を支えるとどうなるか…それは膝がお尻より下がった位置にきます。膝が下がると背骨がCにならないのです。どちらかというと背骨がまっすぐになったり、そり返ったりします。泣いている赤ちゃんの抱っこの時に赤ちゃんが暴れたり、そり返ったりしませんか?抱っこの時は赤ちゃんorお子さんの膝を意識して抱えて見てください。

自分の肘を赤ちゃんの膝に差し込むようにして支えてあげるとやりやすいと思います。

新生児など小さな赤ちゃんには、ご自分の支えやすい方の腕の肘と手首に赤ちゃんのそれぞれの膝が乗るようにすると良いです。片腕は赤ちゃんの両膝を、もう片腕は赤ちゃんの首周りを支えてあげられます。

首を支えてあげる抱っこ

膝がお尻より高い位置になると背骨はC字になる

それは大人でも一緒なので、ご自分の体で体感して見てください。大人が普通に立つとお尻より下がった位置に膝がきますよね。そうすると大人の背骨はS字です。

では膝を曲げてお尻を地面の方向へ下げて、スクワットのようなポーズになってみましょう。もしくは立って片足の膝を胸に引き寄せるか寝転がって両膝を胸に引き寄せてみましょう。そうすると背中は屈曲し、丸くなります。

赤ちゃんの背骨はC字で生まれて、徐々にS字へ成長

赤ちゃんの背骨は大人のS字湾曲のように出来ていません。首と腰にある前弯は後天的に発達するものなので、C字です。赤ちゃんはC字の背骨で生まれてきて、仰向けからうつ伏せになるのも一苦労です。赤ちゃんは生まれてから毎日毎日、一生懸命動く練習をします。生まれたばかりの赤ちゃんは仰向けでずっと寝転がりながら、手足を天井方向へ上げてゴロゴロする練習をします。力がついてくるとうつ伏せに寝転がれるようになります。うつ伏せになった時に重たい自分の頭を一生懸命持ち上げようとします。これが首の湾曲を形作ります。

そして首が座り、段々と座る練習、四つ這いの練習、ハイハイの練習をします。そして腰の湾曲が作られます。そしてようやく立つ、歩く動作へと成長します。

だいたい1歳前後で歩くことができるようになりますが、背骨のS字湾曲はまだ成長過程です。7歳から10歳頃にS字湾曲は出来上がると言われています。(私の解剖生理学の先生は10歳とおっしゃっていました。結構S字湾曲が安定するまでには時間がかかりますね。)

抱っこが必要な期間は何歳まで?

それはその子が望むならいつまでも必要なのでしょう。3歳頃までは抱っこをしながら、お父さんやお母さんは歩いたりする移動が必要ではないでしょうか。4歳以降はお家の中だけで座りながら抱っこの時間を楽しむかもしれません。もしかしたら小学生ぐらいになっても「抱っこして!」と言われるかもしれませんね。

我が家の5歳はたま〜に抱っこして歩いて欲しいと言ってきます。私は自分の体の保護のために、抱っこはするけど歩きません。とお断りします。3歳の娘の時には、外出中に眠くなってしまう事もあるので抱っこして歩きます。

それはご家庭によるので正解はありません。何をお伝えしたいかというと、3歳であっても5歳であっても抱っこのポイントは変わりません。できるだけ子供の膝を支える意識をして抱っこをしてあげるのがオススメです。

そしてより高く、より近くを気をつけてあげると子供とお母さんの顔の高さが近くなります。お母さんの表情やお話している時の口元をお子さんはよく観察する事ができます。目線が近いので抱っこしているお母さんの見ている世界に近いものが一緒に見られます。背の低い子供達にとって、抱っこはきっと大人の世界を満喫できる楽しい時間なのでしょうね。

3歳児の手抱っこ

そして背骨は10歳頃まで成長を続けています。その間にしっかり歩く事が背骨には大事な刺激です。抱っこも大切な時間ですが、しっかり歩く事も同じくらい大切です。