10日間100時間のヴィパッサナー瞑想では、3日間のアナパナ瞑想が終われば、次はいよいよヴィパッサナー瞑想です。より深い部分へと集中し、入り込んでいくヴィパッサナー瞑想。

意識から無意識へ
顕在から潜在へ

心の内側へと沈んでいくようなヴィパッサナー瞑想のやり方や体験してみての感想をお伝えします。

ヴィパッサナー瞑想のやり方

10日間のヴィパッサナー瞑想の前半は鼻の呼吸に集中し続けるアナパナ瞑想を行い、後半はヴィパッサナー瞑想を行います。

ヴィパッサナー瞑想もステップがあり、最終日に向かい、より深めて行くよう指示をされます。

意識を動かし続けるヴィパッサナー瞑想

まず、ヴィパッサナー瞑想では意識を動かし続けます。アナパナ瞑想では鼻の呼吸の感覚という1点に集中する瞑想だったのに対して、意識を動かし続けるのです。どこを意識するかというと、自分自身の体全体にです。

頭のてっぺんから足の先まで、くまなく意識を向け、動かし続けます。そうすると意識を簡単に向けられるところ、意識を向けるのが難しいところ。心地の良いところ、不快なところを感じられます。

頭の先から足の先まで意識を向ける練習を続け、次のステップでは足の先から頭の先まで戻って行く瞑想を行います。そして体全体へと意識を向け、動かし続けるのですが、体の表面だけでなく体の深部まで意識を向け、徐々に深めていきます。

全身すべてに意識を向けて感じ、自分自身を見続けるのがヴィパッサナー瞑想です。体の中で意識が止まりやすい場所があったりするのですが、そこにとどまる事なく次の体の部位へと意識を流して行くように言われます。実際にやってみると感覚が鋭敏な場所は意識を向けやすく、普段意識を向けることの少ない場所は向けにくい気がします。

ヴィパッサナー瞑想を体験してみて

体から発する痛み

続けていくと体のある一部がえぐられるような痛みを発している場所に気がつきます。もちろん怪我をしているわけでもなく、いつもは何も感じていない場所です。私の場合は肋間の一部でした。痛みを感じる場所へ意識を向けてると、そこから意識を動かすのが難しくなります。ある一定の時間、その痛みを見続けるのですが、痛みがより強くなります。そして見続けた後、その痛みがサーっと引いていく感覚がありました。

しかしその痛みが引いていくまでの時間は数分とかではなく、長い時間をかけて痛みが発生し消えていくので、とても信じられないくらいの痛みなわけです。

痛みから意識をそらせば良いのですが、なんか見続けてしまったんですよね。その痛みは潜在的な何かなのかもしれないですし、そうじゃないかもしれません。他の参加者の方も、ものすごい痛みを感じたと言っていたので、私だけではなく皆感じていたことのようです。

しかし、痛みを我慢することがヴィパッサナー瞑想ではないので、先生は意識を動かし続けるよう指示しています。

穏やかな時間と嵐の時間

1日10時間も瞑想をすると、集中できる時間とできない時間がはっきりとわかります。
1日のうちでもこの時間帯はやりやすいとかもありました。

すごく心が嵐のように揺れ動き、イライラしたりする時間の後は、嵐が去ったように心が穏やかに瞑想へ集中できる時間もありました。私の場合、この嵐の時間と穏やかな時間が交互に現れていました。

集中できたと思ったら、次の時間には集中できず…できなかったと思えば次には集中できる。これも「変化し続けている」ということなのだと思います。

ゴエンカ氏は瞑想をすることで心の汚濁が洗い流されていくとおっしゃっています。きっと嵐の時間には潜在的な心のゴミが表面へと現れては消えていくのではないかなぁと思います。

聖なる沈黙の終了

10日目の昼過ぎに、聖なる沈黙が破られます。びっくりするくらい、おしゃべりがあちこちで開始されます。

なぜ10日目に破られるかというと、喋ってはいけない空間というのは日常とかけ離れていて、その日常とかけ離れた場所から日常へと戻る時に、いきなり戻るのではなく、少しザワザワとした状況に慣れた上で社会に戻りましょう。という事からです。

本当に聖なる沈黙が破られると空気が一変します。静寂な空間はなくなり、至る所でおしゃべりが始まります。私はあまり喋る気が起こらず、ぼーっとしたり、瞑想センターは解放されているので残りの時間も瞑想して過ごしました。

ヴィパッサナー瞑想のあと

そんな風に10日間を過ごし、なんとか100時間の瞑想を終えることができました。千葉から東京へ戻る途中、東京駅の人混みやスーパーの光の強さに圧倒されます。普段は刺激に慣れていても、少しそういった環境から離れると東京という外界の刺激の強さに驚かされます。ただ、またすぐに慣れてしまうんですけどね。

10日間の瞑想は大変でもあり、とても貴重な時間となりました。1年に1度くらいは参加したいなと思いつつ、時間のやりくりと今は子供が生まれたばかりなので、もう少ししてからかなぁとも思います。心や自分自身をじっくり見つめる良い機会になりました。皆さんも興味があれば参加して、体験談を教えて頂ければと思います。