Home » ブログ » ヨガと瞑想 » ヨガ哲学 » ヨガ哲学の八支則「ヤマ(禁戒)」とは?日常生活に生かす5つの教え

ヨガは体を動かすアーサナが注目されますが、アーサナはヨガのごく一部でしかありません。生活する上での心構え、アーサナ(体)、プラナヤマ(呼吸)、瞑想(心)、全てがヨガなのです。

今回はヨガ8支則の1つ目・Yama(ヤマ)についてお伝えします。

ヨガ8支則はヨガを行うものの道しるべ

ヨガ哲学はヨガをする人たちにとって大切な教えです。ヨガには八支則と言って、ヨガの練習の仕方について8つの項目に分けて説明されています。ヨガでは、この8つに分かれた項目すべてが大切だと言われています。どれか1つを疎かにすることはできず、どれか1つだけを大切にすることもできません。

1〜8を8から始めることも、途中から始めることもできません。ヨガの最終目標である「心の作用を死滅する」を達成するためには、1から徐々に練習を積み上げて、8へと繋げていく必要があります。

ヨガ八支則について書かれているのが『インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨガ・スートラ』
(スワミ・サッチダーナンダ著 伊藤 久子訳)です。ヨガをする人にとっての聖典のような本です。ヨガを学びたいと思う人は必ず読む本ではないでしょうか。ヨガをより深く学びたい方は必読本です。読み解くことがとても難しい本なので、何度も読み返す本です。私も何度も読み返してます。

Yamaについても、こちらに詳しく書かれています。

Yama(ヤマ)禁戒

八支則の第1は…ヨガを行うものヨギ(男性)、ヨギーニ(女性)が行うべきでない行いについて、まずは述べられています。行うべき事を説かれる前に行わないべき事を説かれているのです。

ヤマ(禁戒)の中に5つの項目があります。非暴力・正直・不盗・禁欲・不貪。5つの事を行わないように日常生活を送る事もヨガなのです。

Ahimsa(アヒンサー)非暴力

1番目のアヒンサー。ヒンサーとは暴力、苦痛を引き起こすことを意味しています。アという否定の言葉がついて「非暴力・苦痛を引き起こさないこと」として禁戒の中で1番最初の重要なものとなります。では暴力とは一体どんなことでしょう。

  • 相手を叩いたり、蹴ったりと傷つけること(肉体、不殺生)
  • 言葉で相手の心を傷つけること(言葉)
  • 他者に負けたくない、優れていなければと思うことで傷つけることに結びつくこと(思い・心)。

肉体や言葉だけでなく、心の中での思いが言葉となり、思いが行動になって誰かを傷つけるきっかけになります。

カルマ(輪廻・良い行いは良い行いとして、悪い行いは悪い行いとして、いつか巡り返ってくること。)という考えでは自分の思いや行動は、いつか自分に返ってきます。だからこそ体の暴力だけでなく、言葉や心にも気を使わなければなりません。

暴力は他者にだけ向けられるわけでもありません。自分の体にもです。だから、自分の体を傷つけることなくヨガを行いましょう。体を痛めてしまうほど無理をしてはいけません。自分にも慈しみを持ちましょう。

そしてアヒンサーは人同士だけでもありません。生きとし生ける全てのもに対して苦痛を与えないように、日々、行動に注意してます。その1つに不殺生な食事です。

すべての事を最初から完璧に行うことは難しいです。少しずつ、意識をして、出来ることから取り入れていければ良いと思います。そうすれば良い気持ちは良い気持ちとして、良い行いは良い行いとして自分に返ってきます。みんながそうなれば世界に平和と調和が保たれるのだと思います。

Satya(サティヤ)正直

2番目のサティヤ。サティヤとは正直さの事です。正直とは嘘をつかないという事です。では嘘とはどんなことでしょう?

事実・真実とは異なること言ったり、行動したりする事です。思った事と言葉・行動を一致させることで正直でいられます。思った事と違う事を言えば嘘になります。

しかし、正直でいることによって誰かに苦痛を与えてしまうこともあります。(アヒンサー・非暴力)この場合、守られるべき優先順位はアヒンサー・非暴力です。誰かを傷つけたり不快にさせてしまうのであれば嘘もやむなし…というより言葉(嘘)を発さないというのが良いでしょう。

間違った行いをしている人に対して注意をする時に、正直に言うことで相手を傷つけてしまうかもと躊躇するかもしれません。正直に伝えることで相手が不快だと感じてもその後、注意してもらえて良かったと思えることであれば正直さは大切になります。相手のためを思うことが大切です。利他の精神です。

Asteya(アステヤ)不盗(ふとう)

3つ目のアステヤ。アステヤは不盗、盗みを行わないということです。盗みとは誰かの物を奪うだけではありません。物だけではなく時間やチャンスも奪わないことです。遅刻をする事は約束をしている人の時間を奪う事です。

この世の全ての物は一体、誰のものでしょう?水は?鉛筆は?お金は?全ては地球の物です。その地球の物を私たちは借りて過ごしています。借りているという意識を持ち、今の自分に必要なものだけを地球から借りようと思うと、物をたくさん持つ必要を感じなくなるかもしれません。

クローゼットの中に必要以上の洋服やかばんが入っていないか?家の中に物が溢れかえっていないか?注意深くなる必要があります。必要以上に持つことにより、もしかしたら必要な人が使うチャンスを奪っているかもしれません。

Brahmacharya(ブラフマチャーリャ)禁欲

4つめのブラフマチャーリャ。ブラフマチャーリャは禁欲です。欲とはなんでしょう?

食欲・睡眠欲・性欲・物欲・支配欲・自己顕示欲…色々とありますね。三大欲求である食欲・睡眠欲・性欲は特に強いエネルギーです。

ヨガをすでに実践している方は感じられると思いますが、ヨガを行っている時、特に瞑想時には強い集中力が必要になります。この集中力を引き出すためには強いエネルギーを必要とします。

お腹にたくさんの食料が詰まったままでは消化にエネルギーが大量に費やされてヨガを集中して行うことはできないでません。惰眠を貪れば体は重くなり、頭も重くなります。睡眠は長く取れば良い、というものでもありません。

性欲…ヨガでは一人のパートナーしか持たないとされています。特に性欲は多大なエネルギーとされています。その大きなエネルギーを瞑想に注ぐ必要があるとも説かれています。エネルギーを無駄に使わないように…という事なのでしょう。かなり難しいテーマです。

食欲は、現在、豊食の時代で食欲が絶え間なく消費されているように感じます。体にとって必要がなくても食べ物を欲してしまう。食べたものが消化しきれず、苦しくても食べたいと思ってしまう。私はヨガを行うようになって、食べてからヨガを行うことの苦しさを痛感しています。

Aparigraha(アパリグラハ)不貪(ふとん)

5つ目のアパリグラハ。アパリグラハは不貪です。不貪は蓄積・必要以上に持たない事です。また贈与を受けないことです。

物を貪らない、貪欲ではない、適切に使うことのできる範囲を超えた蓄積をしないようにします。

以前、私はよくやってしまっていたのですが必要以上に食材を買ってしまい、使い切れなず無駄にしてしまうことです。これはアステヤ・不盗にも繋がってしまいます。

必要以上に欲することで他の誰かが必要とした物を奪ってしまうかもしれません。命ある食材を無駄にしてしまうかもしれません。

贈与(プレゼント)には気持ちという心が含まれています。この気持ちを頂くと気持ちを返さなくてはいけないと心を乱されてしまい、中立でいられなくなります。中立性が乱されたり、失われると、贈与した人(プレゼントした側)にコントロールされると考えられ、受け取るのも送るのも良くないとされています。

ヨガ八支則の1つ目から難しい

以上、5つがヨガの1つ目のヤマ(禁戒)です。簡単そうですか?難しそうですか?簡単にできそうな部分もありますし、えっ?と思う部分もあると思います。

私もはじめてヤマを学んだ時には「何それ?」と思う部分もありました。よく分からない部分があって良いのです。ヨガ哲学はそんなに簡単なものではありません。

だんだんとヨガを行っていくうちに1つ1つが少しずつ、あぁこういう事なのか。と感じてくる部分があります。全てを実践するのはかなり難しい事です。ヨガ上級者でなければ実践し続けることは困難です。簡単にできてしまってはヨガではないのです。1つ1つに注意を向けて、歩んでいくことが大切です。

リタルダンドのインストラクター達も全てができるわけではありません。ただヨガを行う者として注意しなければいけないと日々感じ、実践しています。

ヨガは実践、とにかく続けること

ヨガは実践が大事です。ヨガを実践してみたい方は是非スタジオへいらしてください。
リタルダンドのヨガクラス

Youtubeでも簡単なヨガをアップしています。
リタルダンドのYoutubeヨガ

ヨガ哲学を詳しく知りたい方は【プライベートレッスン】ヨガ哲学講座にご参加下さい。

既にヨガのアーサナに親しんでいる人は是非、この日常生活にも意識を向けるヤマ・禁戒を少し取り入れて見てください。もしかしたらアーサナや瞑想をする時の体の感覚・心の感覚が変化するかもしれません。

最後まで読んでくださってありがとうございます。
Om, Shanthi Shanthi Shanthi…

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